若い頃より出っ歯になりました
以前いらした患者さんで、前歯に問題があるとすぐに治療にいらっしゃるのに、奥歯の治療となるとなかなかいらっしゃらない方がありました。
ご本人もわかっていて、
「見えるところだとすぐに歯医者に来る気持ちになるんだけど。」
とおっしゃっています。
見た目が大切だからこそ、奥歯の治療の大切さを知っていただきたいと思います。
奥歯が虫歯になって溶けました、かぶせていたものが取れました、歯周病のため歯がぐらぐらしています。
そのとき、奥歯を治療しないでいると、見た目にも影響を及ぼすことがあるのです。
歯は上下の歯がかみ合わせられて、そこにとどまっています。噛みあう反対側の歯が無い時、向かい側にある歯はかみ合わせる相手を求めて外に出てきてしまいます。
(上の図)
また、周りの歯も空いたスペースを埋めようと近寄ってくるため、長くほっておくと空いた場所に元の歯と同じだけの歯を入れられるスペースがなくなります。
ここに歯を入れようと思うと、上から出てきてしまった歯を削る必要が出てきます。
出てきた、虫歯にもなっていない歯を削ることは歯科医にとっても、惜しいことです。
奥歯は食べ物を強い力でかみ合わせることが目的なので、その奥歯がないと前歯だけでは支えられません。この状態を長く放っておくとどうなるのでしょう。
「先生私ね、若い頃より前歯が出ました。」
そうです。
奥歯がない状態を長く続けていると、奥の歯茎でものを噛みしめようとします。すると前歯は根っこが1本しかないので、かみ合わせの下の歯の力に負けて左図のように前へ倒れてきます。
こうなったら昔の自分の顔は戻ってきません。
奥歯でしっかりかみ合わせることは、食べ物の消化を助け、胃腸への負担を軽くし、健康な食生活への第一歩。また奥歯でよく噛むことは、脳への刺激ともなり、認知症防止にもなることがわかっています。そして美容にもよくありません。
こうならないためにも、奥歯に異常を感じたら、早めの治療をおすすめします。